口腔外科
Oral surgery
Oral surgery
舌の表面は粘膜で粘膜下は筋肉でできています。前2/3は動かせる舌体(ぜったい)と後方1/3の舌根(ぜっこん)に分けられます。
舌体の粘膜には、味を感じる味蕾(みらい)という小さな器官があり、味を感じる事が出来ます。舌体を動かす事で、食べ物を飲み込むための機能や言葉などを発音する機能を担っています。
舌、口唇、頬粘膜などに発現する炎症で、症状は赤く縁取られた2~10mm程度の丸く白い潰瘍が発生します。
10日くらいで自覚症状が無く治る場合もありますが、口唇や舌などの動きがある部位に発生すると熱感を伴う痛みを感じる事が多いです。原因はストレス、ビタミン不足、免疫力低下などといわれており、口腔内の細菌叢には、ウイルス類、真菌類の増加による正常細菌叢の悪化を認めます。
当院では、痛みのある口内炎の部位にエリビウム・ヤグ・レーザー照射を行い、痛みの消失と早期回復処置を行っております。(保険診療)
舌がんとの鑑別も重要で、口内炎は痛みを感じる事が多く、2~3週間で自然に消失するか、再び発症しても部位や大きさが変化して発症します。同じ部位で痛みをあまり感じず長く日数が経過している場合は注意が必要です。
舌に出来る口腔がんです。舌の先や真ん中よりも、両脇横の部分に多く出現します。舌の裏側の見えにくいところに出来る事もあります。
自覚症状としては、硬いしこりやただれがありますが、早い時期では、必ずしも痛みや出血を伴う訳ではありません。
少し進行すると舌の動きが制限されてしゃべりにくい、食べ物を飲み込みにくいなどの、生活上の違和感に気が付く場合があります。
進行が更に進むと、痛みや出血が持続するようになり、口臭が強く感じるようになります。
当院では、初診時やメインテナンス時には必ず舌の視診を行い、必要があれば触診をして診査して早期発見に努めております。異常を認めた時は患者様に状態を説明して、ご相談の上、速やかに連携医療機関に精査依頼を行っております。
唾液により浸潤し保護されていますが、歯や食べ物などの機械的及び温度的刺激を受けやすいため、表層部の安静は保ちにくく、変化するのが特徴です。
多数の口腔常在菌が存在しています。
頬粘膜、特に上下の奥歯後方の、噛み合わせの時に上下の奥歯が触れる部位の粘膜に、白い粘膜のひだや網目状に見られるしこりのような模様が特徴です。
周囲は発赤を伴いますが無症状の事が多いです。原因は不明とされていますが、外傷性、アレルギー特に歯科用金属、遺伝的、自己免疫疾患、ストレス、などが考えられています。
促進因子として口腔内刺激及び喫煙が関与すると言われています。
治療方法は、ステロイド軟膏やうがい薬の使用になりますが、自覚症状が無い場合は、あえて処置の必要性は無いという意見もあります。
しかし、経過観察の必要性はあります。
まれに扁平苔癬と類似した臨床所見を示す疾患に白板症があり、場合により前がん病変(潜在的悪性疾患)である可能性があるからです。
頬粘膜や舌、時には歯肉にみられる白い病変で、こすっても剥離しないものを呼びます。
白板症は比較的頻度が高く、特に舌にできたものは悪性化する可能性が高い為に、前がん病変の代表的なものとされています。
びらん(粘膜の浅い欠損)を伴う事も有り、物が当たると痛みが有ったり、食べ物がしみたりします。
原因は喫煙、アルコールによる刺激、義歯などの慢性の機械的刺激、ビタミンA・Bの不足などです。
治療は組織の生体細胞検査により確定の診断を行います。白い部分が厚いもの、隆起したもの、びらんや潰瘍が伴うものは、悪性化(がん化)する可能性が高い為、外科処置になります。長期にわたる経過観察を必要とします。
最近は、「大学の口腔外科で親知らずの歯を抜歯した!」と聞く方も多いのではないでしょうか。進化と言えるか?日本人の体形も変化しており、男性も女性も顎の大きさが小さくなっている傾向があります。歯の大きさは遺伝的要因が高い為に、小さい顎に大きな歯が収まらなくなっているようです。
親知らずの抜歯は必然的に難抜歯になり、歯肉や顎の骨の中に埋まっている埋伏抜歯になり、更には真横に親知らずの歯が向いている水平埋伏抜歯の傾向が多くなっております。
当院では、難症例の場合は、口腔外科指導医のライセンスを修得している歯科医師による抜歯を行っております。(保険内治療。要予約。)
原則、当院では、初診当日の抜歯処置は行っておりません。(緊急処置の必要があり、当日に抜歯する場合は、同意書の記載を承諾して頂く必要があります。)
近年、2回に分けて1本の親知らずの歯を抜歯する術式が確立してきました。
抜歯しなければならない保存不可能な歯と、同時に親知らずの歯を抜歯します。
移植をする部位のスペースに合わせて、親知らずの歯の大きさを調整して移植する方法です。
後日2週間以内に、移植した歯の根管治療を行い、更に移植した部位に歯が定着するのを数か月待ち、異常が無ければ通常の歯のように対応していきます。
歯の移植は、親知らずの歯を移植する歯として使用する場合に限り、保険診療で認められており、移植する部位に関してはどの部位にでも認められています。
但し、親知らずの歯の状態が良く、抜く時に歯を傷つける事なく抜歯が可能な場合に限り、移植をする事が出来ます。
根管処置を行い、数か月から数年後に根尖付近に炎症が出現した場合に、歯肉が腫れる・排膿などの症状が出て、レントゲン的にも根尖透過像がはっきりと確認できる場合です。
再度根管処置を行っても改善が認められないと予想されるときに、外科的な処置で治療改善を行う方法です。
麻酔下で、根尖相当部の歯肉の切開を行い、歯肉をめくって歯根を露出させた後に、根尖の一部を削り取り、感染源を取り除く手術です。
同時にレーザー照射による滅菌を行います。
根尖病巣を認める歯が複数根の歯で、仮にその1根だけに炎症を認める場合で、1根の炎症を完全に取り除く事が出来れば、歯の機能を維持できると判断した場合に、炎症の原因根だけを切り取り抜歯する処置です。
人間は顎を動かす事が出来るのは、下顎だけです。筋肉と関節、神経が集中して下顎を支えており、食事や会話の際にはそれらが連動して機能をします。
口を開いたときに顎関節や顎の筋肉に痛みを感じたり、関節から音が鳴ったり、口が開かなくなったりする症状を認めるのが顎関節症です。
痛みは、関節部分の痛みと筋肉痛があります。関節内にある軟骨がすり減ると音が発現したり、関節内の滑らかな動きが妨げられて、口がスムーズに開きにくくなります。
従来は、噛み合わせの悪さが原因とされていましたが、実際には多くの要因が絡んでいる事がわかってきました。
原因としては、噛み合わせの不調和、未成熟な顎関節、心因のストレスからくる筋肉の緊張、外傷、日常生活における習慣や癖などがあげられています。
習慣や癖では、頬づえ、寝方、猫背、歯ぎしり、食いしばり、片側噛み、パソコン・スマホの長時間使用なども原因の一つであると言われています。
重症の場合は、顎関節症専門医による診断と、顎関節に潤滑剤を注入する治療を連携病院で行っています。
「上下の歯がどんな時でも、噛み合わさって接触し続ける癖」の事で、近年、10歳代の若年者から80歳代の高齢者の方まで幅広い年代で発現しています。
正常の場合は、上下の歯は、唇を閉じていても上下の歯は接触しておらず、1~3mm程度の隙間が空いています。(この状態を安静空隙と言います)
上下の歯が接触するのは、食事中の物を噛んだり飲み込んだりする時、会話をしている時などの機能時に瞬間的に接触するのみで、その接触時間を積算しても1日平均17.5分であると報告されています。
本来1日の生活に於いては、20分にも満たない上下の歯の接触であった20年前位は、歯の摩耗や咬耗といった歯がすり減ってしまう状態は高齢者特有の症状でした。
最近はパソコン、スマホ、ゲーム機などの需要が低年齢層にも広がり、国民全ての人が、1日に於いて上下の歯を合わせてる時間が延びている状況です。
歯の表面がすり減る事は、エナメル質を失い、虫歯や酸による脱灰の進行、歯の破折を助長します。下顎の動きも過多となり、顎の関節に強い力がかかる事による顎関節症を誘発します。その他、全身の健康にも悪影響を及ぼしています。
現代病ともとれる現症ですから、確立した防止法はありませんが、一日の生活習慣を見つめなおし、どのような時に無意識に上下の歯を長い時間噛み合わせているかを認識して、意識して姿勢を正し正面を向くなどすると、接触状態が変化します。顎を引いて作業する時間を減らしていく必要があります。
顎関節症のようにマウスピースを作製して、普段から装着する方法も効果があります。